大阪都構想で大阪経済は再生できるのか

 大阪知事選挙と大阪市長選挙が終わりました。選挙結果は、両方とも「大阪維新の会」の候補者が当選するという残念な結果となりました。橋下氏は「変えるのか、変えないのか」という演説で、さも「大阪都」構想で大阪再生がはかれるかのように訴えましたが、しかし、「大阪都」構想の中身は良くわからないというのが府民の実感ではないでしょうか。
 「大阪都」構想は大阪市堺市を解体し、市の権限と財源を1人の指揮官に集中させるという考えですが、権限と財源を1人の指揮官に集中させて、何をやろうとしているのか、「大阪維新の会」によれば「大阪成長戦略」の実現だと言っています。橋下氏がつくった「大阪成長戦略」とは、カジノ総合型リーゾトの立地や大阪湾を埋めたたてつくった咲洲舞洲に国の内外から企業を呼び込むというものです。そのために、法人税の大幅引き下げや労働基準法規制緩和のための「総合特区」をつくり、空港や鉄道、高速道路などの巨大開発を打ち出しています。この方向はカジノ以外、これまでの政治と何も変わりません。これではくらしも経済も良くなりません。
 いま政治に必要なことは、くらしと中小企業を応援し、内需を拡大する以外に経済を立て直す道はないと思います。雇用が不安定になり、給料が下がり、年金が下がるなかで、国民・府民のモノを買う力は弱まり、モノをつくる力は巨大化しているが、国民のモノを買う力が弱いために、モノが売れない、それがさらに働く者の給料を引き下げ、雇用を不安定なものにしているという、悪循環を生み出しています。この悪循環を断ち切る方向でこそ、経済危機を打開する道があります。「大阪都」構想という目先のシステムを変えるということで、大阪経済の再生をはかれるというのは、あまりにも単純な考え方です。